フルヤガーデンの剪定 2つのこだわり
〜刈り込まない手入れとは〜
透かし剪定
光と風が通る美しく、樹木、環境に適した剪定
病気になりにくい
自然樹形の剪定
樹木は自然に伸びている姿こそ美しい
シルエットよりも、樹形、枝ぶりが大切
2つのポイントを大切にしています。その理由や考え方を下記に詳しく書いています。
植木屋さん選びは難しい!?
一般の人が植木屋さん選びが難しいと感じる原因の一つに、「技術の良し悪しがよく分からない」というのがあると思います。 実際、私もこの仕事につくまでは、剪定された木が綺麗かどうかなんて気にもしていませんでした。 しかし庭師として真剣に剪定に向き合ってみると、「これが正解だ!」という答えを出すのは難しいのですが、それでも色々なこだわりのポイントというのがあることが分かりました。 ハサミを使う職業ということで、床屋さんや美容師さんに似た感覚があるかもしれません。 ベストな髪型というのはないけれど、その切り方はないよね、というのは確実にあると思います。 その反面、床屋さんや美容院に行ったことがないという人は少ないと思いますが、植木屋さんを頼んだことがないという人はたくさんいます。 そして年に1回くらいのことなので、他と比べることがとっても難しい業種なのだと思います。 そのせいで、植木屋さんの技術について、一般には基本のキの字も知られていない、というのが現状だと思います。
刈込み剪定をしない!!
そこで、もっとも分かりやすく剪定にこだわりがあるかどうか、見極めるポイントが「刈込剪定をしない!」というところです。 刈込剪定は例えるならバリカンで坊主頭にするような剪定です。
もちろん坊主頭がすべてダメな訳ではありません。 職人としての技術も当然必要ですし、まっすぐ綺麗に、あるいは地球儀のようにまん丸に、美しい刈込み剪定を目指そうとすれば、とても深い世界が広がっています。 ですが、やはり何でもかんでも刈込剪定で良いという訳ではありません。
「刈込剪定」のメリット・デメリットをまとめました。
- 刈込剪定のメリット
- 枝数が増え、密になることで、エネルギーが分散して、伸び方が穏やかになる
- びゅーんと伸びる徒長枝を出さない
- 目隠しを作ることができる
- 刈込剪定のデメリット
- 樹木は切り口から2本以上の新しい枝を出すため、先端の枝数が増え、内側に光が当たらず、内部が枯れていってしまう
- 年々すこしずつ大きくなっていってしまう
- 刈り込んだ時点が完成形で、伸びた姿は鬱蒼としているように見えてしまう
そこで登場するのが「透かし剪定」になります。 樹形をながめて不自然で不要な枝を付け根から切り取って、枝数を減らします。 枝ごと取り去ることで、内部に光が届くようになるため、内側から新しい芽が出ます。 次回はその内側から新しく育った枝を活かし、古い太い枝を切り取ることで、「大きくしない」剪定が可能になります。
透かし剪定のメリット
木漏れ日が差して、庭が明るくなり、下草まで光が届くこと。 デメリットは、強く切りすぎると木が弱ってかえって徒長枝を出させてしまったり、どの枝を残し、どの枝を取り除くかというところに、技術や経験が必要になることです。 この透かし剪定をほとんど行わず、刈込剪定で管理をする植木屋さんがとても多いと感じています。 個人的な体感では、50%以上が刈込剪定ではないかと思います。 刈込み剪定にももちろんプロとしての技術はいるのですが、作業としては単純なのである程度どんな人でも簡単にできて、かつ太い枝をのこぎりで落としたりということがないので、作業時間も速く済むというのが理由だと思います。 一般の人がご自身で剪定される場合には往々にして、刈込剪定に近い形で作業されていますね。 また、一般の人がイメージする植木屋さんが大体、刈込みバサミを持っているのも、多くの人に庭師の技術が知られていないことがよく表れているなぁと感じます。
フルヤガーデンでも以下のものについては刈込剪定をしています。
- フルヤガーデンで刈込剪定をするもの
- コニファー
- 生垣
- 玉物(ツゲ・ツツジなど)
これは、そのようにデザインされて、そのような管理が設計されているからです。 初めてご依頼していただいたお庭では、新しい目でお庭をながめて、玉物や生垣も必要に応じて 透かし剪定を提案しています。 光りが入り、木々が生き返ったようになります。
フルヤガーデンのもう一つのこだわりが「自然樹形の剪定」
自然樹形剪定には突き詰めるとさまざまな流派や考え方が出てくることになるのですが、 フルヤガーデンはあくまで、「木が自然に伸びている姿が美しい」という大きな枠組みでその言葉を使っています。 庭の世界には「仕立て物」という言葉があり、仕立て物というのは、その名の通り庭師の技術で「仕立てられた樹木」です。 長い年月をかけて、枝ぶりを作り、自然に育ったのではありえない樹形になっているので、当然自然樹形とは違います。 和の庭では、こうした樹木が貴重で価値が高いものとされていて、それを引き継いで、育てていくのが庭師の役割でした。 この技術はとても素晴らしいものですが、現在の街中にある多くのお庭の状況とは、かなり隔たりがあるように感じます。 和風のお庭は少なくなり、モダンで、純粋に「緑を楽しむ」という感性で植えられた植物が多くなっています。 そうした樹木や植物は、自然の姿で管理されることを前提としていて、重要なことは「必要以上に大きくならないこと」と「綺麗な状態を保つこと」の二つがポイントになってくると思います。 そうした新しいお庭に対応したサービスが求められているのではないでしょうか。
自然樹形の剪定では、基本的に、枝の先を途中で切らず、ふわっと残した状態で全体のシルエットを作り、より重要視するのは、シルエットよりも、樹形/枝ぶりです。 幹の骨格を意識して、樹形つくることで、剪定直後の姿ではなく、そこから「伸びた姿」が美しいと感じられるようになります。 また枝や幹の更新に備えて、2年後、3年後のために若い枝を育てておくことで、若々しい状態で樹形を維持していくことができる技術になります。 木がどんな風に伸びるか、どのように伸ばしたいかを考えて剪定をするという意味で、刈込剪定とは大きく違いがあります。
自然樹形の剪定はすべてのお庭に適用する訳ではなく、仕立物の樹木はそれを維持していく剪定をします。
お庭にあわせて技術や知識を組み合わせながら、お庭を育て作っていくこと、それがフルヤガーデンの剪定へのこだわりになります。
より良い仕上がりを求めて、スタッフそれぞれが日々勉強をし、お互いに意見を交換しあいながら成長できることが、なによりの強みになっています。